ピアノ名曲解説&練習方法『リスト 巡礼の年 イタリアより ペトラルカのソネット 104番 』

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みなさまこんにちは。
春の陽気が増していますね。春眠暁を覚えずと言いますが、アラームをかけ忘れると大変な毎日が続いています。(教室注:教室都合で掲載が梅雨前になってしまいました)
さて、今回は少しマイナーですがリストの作品の中でもとても綺麗な旋律をもつ、ペトラルカのソネット104番を解説したいと思います。

リストについて

リストはロマン派に活躍した作曲家で、ピアだピアニストとしても卓越した技巧を持つヴィルトゥオーソでした。超絶技巧練習曲やハンガリー狂詩曲など、持ち前の技巧を駆使した華やかな作品を数多く残した作曲家です。

そのプレイヤーとしての伝説的な逸話から、彼の特徴として技巧的な側面が押し出されていますが、リストは文学や建築を題材にした叙情的な標題音楽や、宗教的な作品、交響詩などのピアノ以外の編成の作品においても類まれなる傑作を残しており、彼の作品の持つ性格は多岐にわたります。

彼はピアニストとして優れていたゆえに、少ない労力で最良の演奏効果を得ると言うことにも長けていて、一見すごく難しそうでも練習を積むと手に馴染みやすいフレーズがおおく、ピアニストにとって欠かせない作曲家ともいえるでしょう。

今回紹介するペトラルカのソネットは、彼の作品のなかでもどちらかというと叙情的な作品になります。

ペトラルカのソネット104番が含まれている巡礼の年 第2年 イタリアはリストが当時親しくしていたマリー・ダグー伯爵夫人とイタリアに滞在した際に、文学や美術などから受けた心象を作品にしているものです。

このペトラルカのソネット104番は、イタリアの叙情詩人、ペトラルカの代表作であるカンツォニエーレに収録されたソネットという定型詩のことで、104番は恋におちる喜びと苦しみを情熱的に表現しています。

ペトラルカのソネット104番を弾いてみよう!

この曲は場面ごとの速度変化が激しく、気をとられるとリズム感を失いがちになってしまうので注意しましょう。

4小節に渡るAgitato assaiのゼクエンツですが、右手はオクターブで左手は10度と、広い音域をとらなければなりません。agitatoではありますが、濁らないようペダルはしっかり踏み替えつつ、クリアな響きを目指しましょう。また、5小節目からはAdagioで毛色が180℃変わりますので、変化をしっかりつけましょう。

7小節目から20小節目までのレチタティーヴォは、自由に歌っているかのように、ある程度即興的な雰囲気で弾いてみましょう。もちろんリズムがわからないくらい極端にテンポを変えたりするとフレーズが流れなくなりますが、うまく加減をしながらバランスの良いポイントを探してみましょう。また、ペダリングにだけは濁らないよう注意してみましょう。

21小節目からはそれまでのレチタティーヴォとちがい、少し前に流れていくことを意識しましょう。左手の広いアルペジオは少し難しいですが、レガートで美しいアーティキュレーションを意識して演奏してみてください。コツとしては手のひらで掴み取るようなイメージをもって、腕全体を柔らかく使って弾いてみましょう。

このセクションでは右手に3度の重音によるフレーズがいくつか現れます。力を入れると途端に縦がずれてしまいがちなので、3度のフレーズは腕全体の重みを隣の鍵盤に移していくようなイメージで練習してみてください。

35小節目や40小節目に出てくるような動きの細かい速いパッセージですが、無理にリズム通りに当てはめようとするよりは、フレーズのもつアーティキュレーションの流れに添う様なアゴーギクを意識してみると弾きやすくなります。

広い音域で大きな響きを求められる部分を弾くときは、反発力を使うと楽に大きな音を出すことができます。

反発力をイメージする方法として、立った状態で壁に手をついた状態で、体重をかけてから押し返してみてください。そうすると体が自然と後ろに跳ね返ると思います。

その跳ね返る力を鍵盤を触る時に応用するととてもダイナミックな響きを得られます。

一番最後のセクションなどで、小さい音でレガートに弾く必要があるフレーズなどを音が抜けないように弾くためには、鍵盤の遊びの部分をうまく使う必要があります。

鍵盤は弾くと平均1cm沈みます。鍵盤に触れてから沈むまでのわずかな距離をしっかりと指先で感じ取ることができると、小さい音でもフガフガにならず綺麗に弾くことができるので、ぜひ挑戦してみてください。

おわりに

いかがでしたでしょうか。リストの作品は技巧的な作品はもちろん、叙情的な作品も名曲がたくさんあります。もし興味がございましたら、色々弾いてみてください。

次の記事:ピアノ名曲解説&練習方法『リスト 愛の夢 第3番 』

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AUTHER

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佐々木先生のレッスンは2022年秋頃まで、単発のみでご受講いただけます。

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