ピアノ名曲解説&練習方法『リスト 愛の夢 第3番 』
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みなさまこんにちは。
最近歌曲を聴く機会があり、シューベルトなどのドイツリートの素晴らしさを改めて感じています。
シューマンのミルテの花の献呈が特に好きで、リストが編曲したものを空いた時間に弾いてみたりなどして遊んでいるところです。
そんな中、今回はリスト自身が歌曲として書いて、後にピアノソロに編曲した愛の夢第3番について取り上げたいと思います。
リストと編曲について
リストはオリジナルの作品はもちろんたくさん残しているのですが、ヴェルディのオペラであるリゴレットから主題を引用したリゴレットパラフレーズや、シューベルトの魔王をピアノソロに編曲したりなど、自作他作問わず、管弦楽や独唱といった編成の作品をピアノソロにアレンジするといったことを数多く行ってきた作曲家になります。
今回紹介する愛の夢は自身で作曲していた「おお、愛せるだけ愛してください」という歌曲をピアノ用に編曲したものになります。この作品を弾くにあたって、原曲の雰囲気と歌詞を見ることは曲想を考える上でとても役に立つので、ぜひ聴いてみてください。
愛の夢を弾いてみよう!
Poco allegro con affettoという速度指示があります。con affetto なので愛情を込めて、しかしPoco Allegro なのでしっかりと曲が流れていくようなテンポ感が大切です。
出だしにあるような、真ん中の声部にメロディラインを持ってきて、バスで支えながらソプラノに装飾的なフレーズを用いるというのはリストが得意とする作曲技法の一つになります。
このフレーズは親指でメロディラインを歌わせる必要があることや、メロディそのものが響かせづらい音域にあることから、より一層気を使う必要があります。
親指の付け根からしなやかに鍵盤に入れるように意識してみましょう。また、メロディのなかで左手を使って弾く場面もありますので、手が変わったことによって音色が変わらないように意識してみてください。
また、右手のフレーズの弾き分けですが、イメージ的には手のひらから肘あたりにかけてまで切り分けられた別人格になっているような意識で弾くとうまく弾き分けられます。切り分けられているポイントとしては、手の甲の中にある第4関節(親指だけ第3関節)を意識すると脳の中で切り替える目安がうまれるので、最初は慣れないかもしれませんが、ぜひ挑戦してみてください。
24小節目からの細かいゼクエンツで広い音域を行き来するフレーズもリストが使う典型的な手法になります。初めて聴いてみると、テンポが早くて広い音域で動くので難しそうに見えるのですが、細かく分解して楽譜を見てみると、同じパターンの連続になっている事がみえてきます。
なので、練習する際はパターンを覚える練習を行なって見て、そのあと音域に対応するための重心を移動する練習を行って見てください。
Piu animato con passione のセクションですが、最初のセクションとは逆にメロディがソプラノに回っています。
そのため、先程よりはメロディとアルペジオが弾きわけやすくなっていますが、このセクションでは左手にもアルペジオのパッセージが現れているので、全体のバランスを整えるように気をつけてみましょう。
二重線のあと、調号がなくなるところからはバスのラインを中心に、和声の響きを大切にしましょう。
大きな音で響きを増やすためには、和声の響きを連続的に増やしていく必要があります。
特に左手は響きの豊かさに直結するので、耳を使って十分に広がりを感じてみてください。
中間部がとても豊かな表情で響き渡る場面なので、それが終わったテンポプリモからは少し落ち着いた雰囲気を出せると曲の構成としても整います。左手を交差させて弾く高音部は純粋で柔らかい響きを目指すと良い表情が出せます。
コツとしては指で鋭く掴みにいくというよりは、腕全体をしなやかに使って浮かび上がらせるようなイメージで弾くと弾きやすいです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。リストの愛の夢はとても綺麗な旋律をもっていて、リストの作品の中でも特に人気の高い曲になります。皆様もぜひ挑戦してみてください。
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