ピアノ名曲解説&練習方法『ラヴェル 亡き王女の為のパヴァーヌ 』

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みなさまこんにちは。
近現代の作曲家を扱うにあたって、初めは誰がいいだろうかと考えていたのですが、最近個人的に聴く機会が多かったラヴェルの作品を取り上げてみたいと思います。

ラヴェルについて

いらすとやさんのラヴェルさん

ラヴェルは1875年生まれのフランスの作曲家です。ドビュッシーやストラヴィンスキーなどと同時代に活躍し、管弦楽の魔術師といわれるように、自作はもちろん、展覧会の絵などの他の作曲家の作品のオーケストラ編曲においても優れた作品を残しています。

日本でポピュラーなラヴェルの作品といえばなんといってもボレロがあげられると思います。同じメロディ、リズムがいろんな楽器で次々と繰り返される作品で、シンプルながらとても聴きごたえのある作品です。

また、吹奏楽への編曲版などで馴染みがある、ダフニスとクロエなどもオススメです。

組曲版などもありますが、個人的にはやはり少し長いですがバレエと一緒に聴くのが一押しです。合唱付きの巨大な編成によって、イントロダクションから一気に引き込まれる魅力があります。

さて、今回紹介する亡き王女のためのパヴァーヌ。これもラヴェルの初期を代表する傑作とされており、ピアノ版と作曲者自身によるオーケストラ編があります。

母がバスク地方の出身であることから、スペインの文化などに関心を寄せていたラヴェルの作品は、先程紹介したボレロやスペイン狂詩曲など、スペイン趣味の要素がふんだんに用いられている作品があります。

亡き王女のためのパヴァーヌの原題は”Pavane pour une infante défunte”といい、infanteという単語はスペインの王族に授けられる身分になります。この作品はベラスケスの描いたマルガリータ王女の肖像画からインスピレーションを得ているともされ、亡くなったことを偲ぶためのというよりは、はるか昔の王女がパヴァーヌを踊っているような情景に思いを馳せるような、ノスタルジックな趣味の作品になります。

亡き王女のパヴァーヌを弾いてみよう!

ゆったりしたテンポの作品の解説の際には度々出てくる注意ですが、拍の意識を忘れないようにしましょう。パヴァーヌは舞曲ですので特に気をつける必要があります。

また、古典やロマン派の作品よりも和声が複雑に感じますが、解決の瞬間はいくつか存在していますので、大きなフレージングをもって解決に向かいましょう。

非常に美しい旋律とハーモニーをもつ作品であるため、自由にテンポを揺らしたりしてしまう演奏が多いのですが、先程記載したノスタルジックという要素を忘れないようにしましょう。

パヴァーヌが実際に踊られていたのは16世紀で、ラヴェルが活躍した時代より300〜400年ほど前の事であり、ベラスケスも16世紀から17世紀にかけて活躍した画家になります。

ラヴェルは彼特有の現代的なハーモニーを用いて、古典的な形式や題材を用いる事があります。

なので、ロマン派の作品のように思い切った表現をするというよりは、どこか昔を懐かしんで淡々と演奏しているといったようなニュアンスを出せるとこの作品の魅力を引き出せます。

もちろんテンポ指定やアーティキュレーションなどは細かく書かれていますので、その範囲を逸脱しない上で自由さを表現してみましょう。

ハーモニーの純粋さを出すコツとして、装飾音符を比較的クリアに弾いてみましょう。和音を構成する全ての音をクリアに、そしてバランス良く弾くことで、独特な雰囲気を出す事ができます。その上で、メロディラインとそれ以外を上手く弾き分けると綺麗な響きを生み出せます。

どのセクションにおいても重要ですが、、特に一番最後のセクションでは声部ごとに分けた練習を行ってみましょう。異なるニュアンスのフレーズが組み合わさることによって、音楽が多声的に聴こえて来ます。そのバランス感覚が適切であれば、自然と響きが綺麗に聞こえてきますので、取り組んでみてください。

おわりに

いかがでしたでしょうか。ラヴェルは近現代の作曲家の中でも特に表現が豊かな作品を多く残しています。亡き王女のためのパヴァーヌはもちろん、ご興味ありましたら他のピアノ、管弦楽の作品を聴いてみてください。

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佐々木先生のレッスンは2022年秋頃まで、単発のみでご受講いただけます。

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