ピアノ名曲解説&練習方法『ベートーヴェン ピアノソナタ第14番 月光 第一楽章 』

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みなさまこんにちは。
最近色々な作曲家の作品を勉強しているなかで、改めてベートーヴェンの作品の良さを感じる事が多いです。
もちろんベートーヴェンも色々と取り組んできてはいるのですが、有名なのに意外と弾いた事がなかった作品が今回紹介する月光ソナタになります。
第一楽章は比較的簡単なので、ぜひみなさん挑戦してみてください。

ベートーヴェンと作品について

日本でも3大ソナタとして知られている月光ソナタですが、ベートーヴェン自身はこの曲の一つ前の13番と共に幻想曲風ソナタという題を付けています。当時、レルシュタープという詩人がこの曲を聴いた際に「ルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と第一楽章に対してコメントしたことから世界的にこの月光という愛称が使われています。

この月光ソナタはジュリエッタ・グイチャルディという女性に献呈されています。ベートーヴェンは友人への手紙などで、ジュリエッタに対する好意を表す文を残しており、彼女に対する恋心を抱いていました。しかし、ジュリエッタは伯爵令嬢であり、平民のベートーヴェンとは身分の違いがありました。ベートーヴェンが想いを伝えたかどうか。真相はわかりませんが、彼は叶わなかった恋心をこの作品に投影したのでしょう。

少しだけこの作品の構造のお話をします。

通常、ソナタと呼ばれる作品では第一楽章にソナタ形式の楽章を置くところ、月光ソナタでは叙情的な緩徐楽章を一番最初に配置して、第三楽章にソナタ形式を用いています。それによって、今までに書かれてきたソナタのセオリーとはかけ離れた構成になっており、非常に革新的な作品となっています。

月光ソナタを弾いてみよう!

月光ソナタの第一楽章はベートーヴェンの作品の中でも技術的な難易度が低く、演奏しやすい作品の一つです。

2分の2拍子で、Adagio sostenutoと非常にゆったりとした流れの作品となっています。

この作品のようにゆっくりのテンポの作品でも大きなリズムに乗る事は忘れないように心がけましょう。決して大げさにする必要はありませんが、拍感が損なわれてしまうと音楽が無機質な雰囲気になってしまいますので注意しましょう。

この作品は難所らしい難所はとくにありませんが、音楽的に美しく弾くにはそれなりの整理が必要です。

最も大切にするべきポイントは和声の変化です。

ソプラノはもちろん美しく歌わせるのですが、バスラインの大きな土台に他の音を乗せてあげる意識で演奏しましょう。そして、移り変わる和声の変化を丁寧に表現すると、より効果的に曲全体が豊かな表情をもちます。中でも、半音の動きを特に丁寧に描くと曲の凄みが増すので、ぜひ取り入れてみてください。

そして、ソプラノの歌わせ方ですが、指で強く弾くのではなく、腕全体の重みを鍵盤に乗せるようなイメージで弾くことが大切です。肩から肘、手首を通って指の先までが一つの大きな梃子のようなイメージを持って、滑らかに重みを伝えていくと、透き通った綺麗な音が鳴りますので、みなさまぜひ試してみてください。

もし、うまくいかない場合は声部ごとにバラして練習してみてください。ソプラノの流れだけを確認することや、バスラインの動きを確認することも、曲全体の把握に繋がりますので、練習の際に1回だけなど少しだけ取り入れてみてください。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

以前紹介した悲愴ソナタ第二楽章とならんで、ベートーヴェンの作品の中では馴染みやすい作品となっていますので、ぜひ取り組んでみてください。

ベートーヴェンの作品は他にも悲愴などを取り上げていますので、ご興味ある方はぜひお読みくださると幸いです。

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